「新しい作品が育たない!?」
昭和の『ルパン三世』、平成の『名探偵コナン』は、どちらも令和まで続投。
そこに颯爽と現れたのが、『リコリス・リコイル』♪
オリジナルアニメとして大成功
『リコリス・リコイル』は、オリジナルアニメ!
つまり、原作と呼べる作品がありません。
豪華スタッフが結集した
ラノベブームに『ベン・トー』を書いた「アサウラ」先生が、原案。
可愛いキャラたちが派手に戦うのが、『リコリス・リコイル』!
アニメ制作のスタッフは全員が素晴らしいものの、ここでは割愛します。
リコリコは、主役の2人に集中させるための演出。
錦木千束と「井ノ上たきな」が可愛く、次点で喫茶リコリコの女キャラ、その次に絡んでくるサブキャラ、モブと、差別化されている。
この匙加減が上手く、ヘイトを集める女キャラは可愛くない。
しかし、不細工と言うほどではなく、「美少女ばかりで胸やけする」という事態を防止。
「クラスで可愛い女子は数人」という、リアリティにも……。
キャラの描き分けは、千束と「たきな」を引き立てるため。
おかげで、メリハリのついた物語♪
スタイリッシュな銃撃戦
主役2人が可愛いだけなら、マニア向け。
名作のガンアクションを踏襲しているから、シークバーで飛ばせない銃撃戦!
ジョン・ウィックと似た構えで、武装グループに接近しての制圧。
バディ物の「お互いに欠けた部分を補いつつ、強みを活かす」という演出で、退屈しない。
最強だけど、低致死性のフランジブル弾と、射出式で拘束するバンドを駆使する千束。
いっぽう、エリート転落とはいえ、精密射撃の「たきな」。
2人が派手に戦いつつ、その裏でリコリスたちも任務を遂行する。
飛行ドローンを駆使したハッキングと監視、怪しさMAXのアラン機関。
これに東京の風景が加わり、喫茶リコリコという日常によって安心できる。
アニメとしての20分をフル活用
テレビ放送のアニメは、1話20分。
1クール12話で、起承転結を考えなければいけない。
視聴者は、1話ごとに判断します。
『リコリス・リコイル』の構成は素晴らしく、どこから見てもファンになる。
キャラの視線、表情、沈黙による間、カメラワーク……。
千束が使っている銃はストライクプレート装備で、相手を殴るように密着させて撃つ。
外連味たっぷりで、至近距離でかわしつつ、スピーディーな発砲。
映像として作られたリコリコに、ムダはない。
非合法作戦で「敵を殺さない!」と言い出したら、味方に殺される。
良くて、たきなのような左遷。
それでも、リコリコは視聴者ファースト!
ヘイト役にも理があって、相応の扱いだからこそ、男女に支持される主人公たち。
無理にアニメ化しない戦略
リコリコは、アニメ二期ではなく、ショートムービーを選択。
そこから読み取れる事実は、「テレビ放送を続けない」という常識?
二期ではなく無料公開のショートアニメ
2025年4月に、ショートムービーを制作。
『リコリス・リコイル Friends are thieves of time.』
全6話で、YouTubeによる無料公開!
この理由は、色々あります。
- 1クールのアニメ制作は、もう数年がかり
- 新規ユーザーはYouTubeにいる
- 無料で継続性のある宣伝
- 広告による収入
- ライトユーザーは瞬間的に判断
今は、クオリティや満足度を下げることが禁忌!
『ワンパンマン』のアニメ三期で分かったように、作画の崩れや、動かさない展開であれば、やらないほうがマシ。
日常回であっても、1話20分は長すぎる。
クオリティを落とさず、新規ユーザーを釣っていくとなれば、ショートが最適解♪
脚本家とデザイナーによる小説
ショートムービーと連動して、『リコリス・リコイル Ordinary days』を発売!
小説版も、ストーリー原案のアサウラ先生、キャラデザの「いみぎむる」先生が担当。
アニメは、キャラの心情がぼんやりと分かるだけ。
その補完となる小説は、ラノベ離れを吹き飛ばすように、新たな記録を樹立!
- 発売前の重版2回
- 〃 10万部の達成
- (電子版を含めて)25万部を突破
- 『リコリス・リコイル Recovery days』と合わせて、50万部を突破
2025年で無名の作家によるラノベは、2,000部がせいぜい。
シリーズの続刊なら、4,000~5,000部。
それと比べれば、まさに異次元!
日本のマルチメディア展開が、最終的にアニメで売るなら。
そもそも、人気アニメを小説にすればいい!
制作費が桁違いだから今後の基準とはなりませんが、この事実は無視できず。
豊富に販売されているキャラグッズ
『リコリス・リコイル』のキャラグッズは、豊富なバリエーション!
従来のキャラアイテムに限らず、スタイリッシュで、普段から使えそうな物ばかり。
アニメ、漫画は、IP(知的財産)です。
言い換えれば、キャラを芸能人のように扱い、関連グッズ、イベント、コラボで儲ける。
リコリコは成功しましたが、億単位のお金が動いた。
となれば、それを5年、10年にわたり、回収しなければならない。
その意味で、キャラグッズは優秀!
物にもよりますが、千束と「たきな」のファンがこぞって買う。
通販で24時間、365日、ずっと売れます。
リコリコは、腕時計、バッグ・ポーチ、ファッションなど、日常アイテムも多い。
3分以上の視聴に耐えられない!?
2025年のユーザーは、瞬間的に判断。
YouTubeは10分の動画が多く、最初の1分で決まる!
ユーザーは数分間で判断する
「テレビ放送だから」という区別をせず、どれも数分。
つまらないと思えば、指が動き、スマホやPCは別の動画を流す。
2025年の映画、『果てしなきスカーレット』は、その影響をもろに受けた。
アニメ『千歳くんはラムネ瓶のなか』も1話切りで、宣伝広告による期待の高さが共通!
今のユーザーは、騙されることを何よりも嫌う。
往復で2時間以上の移動や交通費、2,000円を払う映画館では、尚更。
無料のYouTubeで数分は、最もハードルが低い。
DVDを買わず、有料配信を見ない層にも、知ってもらえる。
露出が増えて、新規ユーザーを開拓!
『リコリス・リコイル』は、賢い。
無理にテレビ放送を続ける、OVAに切り替える、劇場版を選ばず。
「5年後に!」と言っている場合ではなく、世代の断絶こそ、忌むべき事態。
知らないものは買わないし、後から見つけて「懐かしい」と感じず。
瞬間的にエモい場面を見せられるか?
『果てしなきスカーレット』にも言えますが、「このシーンを見たい!」が全て。
YouTubeの切り抜きで、見たい場面があるのか?
分析や考察によって、ユーザーが「すごい!」と感心できる部分もあれば、理想。
瞬間的にエモい場面、それは本音でのやり取り、激闘で打ち勝った直後……。
『リコリス・リコイル』は、喫茶リコリコの日常と、スピーディな銃撃戦。
一部の構えが「カップ&ソーサー」ですが、全体的にそれっぽい動き。
『Fate/Zero』の剣戟のような、「このために金を出す!」があるのか?
『BLEACH』の「憧れは理解から最も遠い感情だよ」のような、ミームの量産。
どういう形であっても、売りが必要。
豪華絢爛とタイパの二極化
アニメ映画として大成功の、『鬼滅の刃』『チェンソーマン』。
どちらも、豪華絢爛!
つまり、時間とお金をかけて、映画館で視聴するだけの価値がある。
2025年は、どの業界もリピーターに頼っている。
続編となれば、初見では理解しにくいキャラや描写ばかり。
2回以上の視聴は10%オーバーになっていて、5回、10回も珍しくない。
コンプリートしたくなる限定特典も、それを後押し。
「30億円で作って、300億の興行収入を狙う!」
その豪華絢爛なムービーを、映画館のスクリーンと音響機器で楽しむ。
いっぽう、無料のYouTube、あるいは、低予算のアニメ。
好きにシークバーを動かして、すぐ離脱できるから、タイパ抜群♪
この二極化を正しく理解することが、大前提!
なろう小説へのアンチテーゼ
『小説家になろう』の主人公は、読者が成りきるため!
解像度を上げていくほど、醜悪になる。
主人公が格下をいじめることに辟易
なろう主人公は、常に正しく、褒め称えられるべき!
無様に負けて罵られるのは、第一話だけ。
オープニングで過剰に痛めつけられた主人公が、復讐する。
けれど、それは同じ立場になっただけ。
皮肉なことに、「かつて憎んだキャラになり果てる」というオチ。
そうでなくても、出オチになったまま、ダラダラと続く。
いっぽう、『リコリス・リコイル』はプロが相手で、組織的。
千束と「たきな」は強いが、絶対的ではなく、まともに撃たれれば死ぬ!
だから、緊張感があり、ハラハラする。
なろうテンプレは、読者が理解しやすいよう、バカと幼稚だけ。
読み捨てに最適ですが、じっくり読み返す気にならない。
映像として魅力があるのか?
リコリコは、アニメ放送にジャストフィット!
対して、なろうテンプレは読者が気持ち良くなるだけの性癖。
なろう作品をアニメにすると、性癖の公開。
強い拒絶を示す人が出てくるのは、当たり前!
スマホで読むことに特化したら、映像に最も向いていない素材へ……。
つまり、移動販売の焼き立てメロンパン。
美味いけど、30分も経てばペチャンコに潰れて、一気に味が落ちる。
それが、なろうテンプレの正体。
1話2,000文字で、毎日更新!
ユーザーは瞬間的に判断するし、いちいち読み返さない。
その需要に応えれば、「アニメにした場合は……」と考える余裕はなし。
必要なキャラと設定にすることが重要
初心者がよくやるのが、設定を増やすこと。
『とある魔術の禁書目録』のようなキャラ増加も、拍車をかける。
リコリコは、全て計算済み!
不要なキャラを出さず、その役割に応じて登場。
主役は美少女2人で、可愛さと、ガンアクションを堪能するだけでいい。
逆に言えば、ライブ感だけで設定を増やすと、押し潰される。
アニメ化となっても、その説明で終了。
なろうの弊害は、プロットがなく、PV(ページビュー)至上主義であること。
ランキング上位になるほど、勢いだけの出オチ。
しかし、世間は知ったことではなく、身内ネタに困惑するばかり。
ヒーローがいない時代で生き延びる
令和となり、昭和のような全体主義は過去へ!
「信じて尽くした組織に裏切られる」というテーマが、刺さります。
信じられるのは自分と仲間だけ
かつては、『銀河英雄伝説』『AKIRA』のように、体制への反逆。
娯楽に徹した『コードギアス 反逆のルルーシュ』も、ルルーシュとスザクが対比になった。
『リコリス・リコイル』も、所属している組織を信じていない、美少女コンビ。
最強のファーストの錦木千束は不殺を貫き、「井ノ上たきな」は任務中のミスで左遷。
どちらもDAのリコリスだが、自分のために生きる!
自宅のマンションにも襲撃がある日常は、映画『ミュンヘン』を彷彿とさせる。
殺し屋であるのと同時に、彼女たちは普通の女子。
リコリスとしての任務は、絶対!
けれど、自分の身を守ることも必要。
自分が寝るベッドを疑心暗鬼で切り裂きそうな日々でも、たくましく生きる。
喫茶リコリコへ行き、東京の下町で過ごしながら。
大義による自己犠牲は共感されない
1990年のバブル期は、大変だけど、やればやった分だけ報われた。
年功序列と終身雇用で、上に媚びを売るか、職場で立場を築けば、安泰。
ところが、バブル崩壊、クラウドサービスの普及で、リストラが進む……。
2022年に、対話型のChatGPTが登場!
AI生成は、イラストだけではなく、ラノベ、WindowsのようなOSにまで。
「第二の幕末」と言える現代は、AIで事足ります。
まだ課題は多いものの、中流がどんどん減ることは間違いない。
大義のための自己犠牲を見たくないのは、当然。
リコリコは絶妙なバランスと演出
社会で暗殺していく物語で、アニメ放映のタイミングで安倍元首相の暗殺も!?
けれど、注目されることなく、完走しました。
「喫茶リコリコで楽しく過ごす」というイメージが強く、千束が人命重視だから。
プロらしい銃撃戦に、カーチェイス、現代らしいハッキング、ドローン監視……。
裏で暗躍しているアラン機関に対して、喫茶リコリコが対抗!
視聴者が欲しい情報だけ。
何よりも、千束と「たきな」を応援したくなる。
「実態としてどうか?」ではなく、2人は無事という流れ。
裏でモブが犠牲になるも、それは別の話。
切り分けが上手で、繰り返しの視聴だけではなく、数分の動画にも耐える。
YouTubeのミュージックビデオと連動させた『推しの子』と並ぶ、令和アニメの代表格♪
