王道のスクールアイドル!彼女たちの軌跡はいつまでも残る!

スクフェス2のサービス終了。
これをもって、『ラブライブ!』という人気コンテンツも……。
初代のμ’s(ミューズ)から見守ってきた私が、その栄光と衰退を語ります!

ラブライブという青春

2010年に「電撃G’s magazine」で行われた、ユーザー参加型のスクールアイドルプロジェクト。
それこそが、『ラブライブ!』の始まりです!

王道のスポ根によって万人受け!

結成したユニットのCDは、好調でした。
それを受けて、2013年1月からアニメ放送がスタート!

アニメ制作はサンライズ、作詞家の畑亜貴などのヒットメーカーを結集しての、堂々たる船出。
美少女アイドルでありながら、「学園で一から始める部活」というスポ根もの。
その成長物語は、本来なら敬遠するはずの女子も取り込みました。

2013年4月からは、『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル』による音ゲーも!
スマホの成功によって、アニメに興味がないライト層もがっちりと掴んだのです。

2014年2月に、さいたまスーパーアリーナで2日間のライブイベント。
続く4月から、アニメ2期が放送される流れ。

2クールのアニメも大成功!

強引につなげた感もありましたが、アニメ2期も大成功!
CD、漫画、ライブ、アニメ、ソシャゲと、マルチメディア展開が刺さった形です。

「廃校を阻止するための部活動」としたおかげで、アニメ単体で多くのファンを獲得。
おと木坂きざか学院があると設定された東京都の神保町については、聖地巡礼の舞台になると同時にコラボも盛んに行われました。
特に、主人公の高坂こうさか穂乃果がいる和菓子屋「穂むら」は、老舗の「竹むら」がモデル。

多くの人が目にするアニメは、色々な舞台衣装で着飾り、μ’sとして歌いつつ踊る。
男子どころか、彼女たちの父親ですら顔を映さない徹底ぶりで、1つの夢といえるほどの空間に。

バトルなしの日常だけど、2クールを通しても退屈しない。
これだけ豪華で各キャラの人気があるアニメは、最初で最後だと思います。

現実でも夢を実現させたミューズ

『ラブライブ!』のμ’sは、夢を実現しました。

2010年の電撃G’s magazineでキャラクター発表と、ファーストシングル発売。
あとから声優陣が発表され、誌面による公募でグループ名μ’sに決定。
声優のユニットも活動を始めて、2012年にファーストライブ!

「アニメのライブにおける振り付けを再現」
追体験する手法で、理想のアイドルへ。
オリコンランキングは上がり続け、ファンが応援する効果は留まるところを知らず。

ハードなライブを繰り返すことで、演じていた声優の負担は大きかったようです。
しかし、その熱量はアイドルアニメでも群を抜いていました。
2016年のファイナルライブを最後に声優ユニットμ’sは活動を停止するも、『ラブライブ!』の代名詞として2024年にも記念イベントを開催するほど。

みんなで盛り上げてプロが集金

μ’sが卒業したあとで、『ラブライブ!サンシャイン!!』のAqours(アクア)が登場。
けれど、そのアニメは、お世辞にも良いと言えない出来に!?

現実のライブ重視でシリーズ化

『ラブライブ!』は、μ’sの成長とサクセスストーリーです。
しかし、『ラブライブ!サンシャイン!!』は常軌を逸する展開で、誰もが首をかしげる。

  1. 異常なまでに消されている、μ’sの痕跡
  2. 『ラブライブ!』に逆張りしている、感動を台無しにする脚本
  3. 濃すぎるキャラたち

静岡県沼津市にある「浦の星女学院」で、スクールアイドルの活動。
同じように廃校の危機を知り、ラブライブを目指すも……。

読者参加企画によるユニット名で、μ’sと同じ流れと思いきや。
アニメ2期と劇場版が、見るにたえない惨状でした。
これに対して、私は1つの考えを持ったのです。

μ’sの卒業とAqoursの逆境

μ’sが作り上げた「アニメキャラと声優の一体化」をがしたかった。
つまり、『ラブライブ!サンシャイン!!』は、「現実のAqoursと別物で、お前らが大好きなμ’sはどこにもいない!」の突き放しです。

アニメと現実の区別がつかないμ’sファンを振るい落としつつも、「ラブライブ! がまだ続くのなら!」という箱推しにする妙手みょうしゅ……。

「スクールアイドルは廃校を阻止できないし、お馬鹿でグチャグチャにする」
全て計算づくで、『ラブライブ!』のイメージを食いつぶす形。
目的は、熱心なμ’sファンを駆逐するためです。
作中のAqoursは「やっぱり凄いや!」とμ’sを神格化しており、ファンはこぶしを振り下ろせない。

アニメ制作のコストは、放映権の販売によって回収。
あるいは、円盤に初回生産限定をつければ、ペイできるぐらいは売れます。
「何のために劇場版まで?」という疑問には、明確な答えが!

プロはお抱えの声優のドル売りだけ

「現実のAqoursを売りたかったから!」
要するに、ドル売りです。
声優ユニットのμ’sと比べて、声優の露出が増えています。

アニメは宣伝にすぎず、ライブ会場でグッズを買ってもらうことが狙い。
どれだけ駄作になっても、OK!

声優ユニットのAqoursに罪はなく、彼女たちはプロの仕事。
2015年の夏合宿から新型コロナを乗り越え、2024年に9周年のワンマンライブを最後に……。

熱狂的だったμ’sファンを切り捨てつつ、『ラブライブ!』の箱推しは拾っていく。
さらに、アニメで新規ファンも!
ショービジネスとして大成功で、絶対に感動させない『ラブライブ!サンシャイン!!』のアニメ放送は正しい判断だったと言わざるを得ません。

彼女たちの後釜はVtuber!?

あらゆる要素が噛み合い、二次元と三次元のどちらも席巻したμ’s。
しかし、ドル箱に群がった大人に潰され、その一方で新しいアイドルが誕生!

共感性の欠如によって終焉へ

前述した『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル』も、大きな柱でした。
黎明期れいめいきのスタートダッシュと話題性により、まさに覇権といえるセールス。

ただ、μ’sを強引に切り捨てて、『ラブライブ!サンシャイン!!』による脱臭とAqoursの押し付けは大きな反感を生みました。
解散まで続けずに、いきなりの新ユニットへ……。

短期間で激しいライブを繰り返すから、世代交代が必要であることは分かります。
けれど、あまりに強引すぎました。
ネットの普及するまでは、プロが用意したコンテンツを楽しむだけでしたが――

「みんなで叶える物語」から現実に突き落とされたファンの恨みは、プロの想像以上。
μ’sの遺産を受け継いだAqoursを最後に、鳴かず飛ばずへ。
スクフェスの課金にも、大きな影響を与えたのです。

ニコ生で育った大手Vtuberに既視感

急速に整備されていく、ネット環境。
『ニコニコ動画』の生配信では、無所属の配信者たちが多くのリスナーに囲まれていました。

「採算度外視で、みんなのお祭り」
この楽しい雰囲気は、どこかで見ましたよね?

そうです!
『ラブライブ!』のμ’sです!!

配信者の中でトップクラスの女性たちは、大手のVtuber事務所の立ち上げへ。
囲い込めなかった『ニコニコ動画』は置いていかれ、凝ったアバターや、家が一軒建つぐらいのMV(ミュージック・ビデオ)、お喋りによるゲーム配信は、新たなμ’sとなったのです。

大手の箱もドル売りで同じ道へ?

とあるVtuber事務所は、奇しくも『ラブライブ!』と似た名前です。
別に、意識していないでしょうけど。

その事務所は「大勢のメンバーが仲良く、それぞれのリスナーに独自の名称を与えつつ、共に歩んでいく」というスタイルを維持しています。

『ラブライブ!』のμ’sが売れたのも、ファンと一緒だったから!
これまでの芸能界とは違う『ニコニコ動画』で育った価値観とムーブは、プロが仕掛けたアイドルにお金を落とすルートをせき止めました。

2024年では、ニコニコの経験がある世代から統一されたアイドル採用で陳腐化する恐れや、卒業に転生で売れっ子が抜けるなど、Vtuber事務所も大変!
上場企業のコンプライアンス遵守で、「自分のやりたい企画はボツばかり」となれば……。

スクフェス2の終了による区切り

後継の『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル2 MIRACLE LIVE!』が、サービス終了。
2024年3月に、一世を風靡ふうびしたリズムゲーは幕を閉じました。

アイドルとゲームは競合相手が多い

スクフェスを始めた時は、ブルーオーシャンでした。
大成功した『ラブライブ!』による集客効果も相まって、この世の春♪

けれど、ソシャゲの進化と乱立は、広告代理店などのプロですら読めない変化へ……。

5年、10年も経てば、かつての成功体験が通用しません。
プロデュースしている方々は、「ラブライブ! という箱で稼げる」と期待したでしょう。
だけど、大人の事情でμ’sを消してみれば、直後のAqoursが引き継いだのみ。
後続のアイドルユニットなんて、誰も知らないし、興味もないです。

頼みの綱であるスクフェスは、『プリンセスコネクト!Re:Dive』や『ウマ娘 プリティーダービー』に置いていかれました。
育成と音ゲーは、完成されているけど、伸び代のないシステムです。
原点であるμ’sを消して、ソシャゲだけにした結果が、これ!

ただの制服女子のスクールアイドル

『ラブライブ!』がブームになったのは、女子にも支持される青春だったから。
良い意味で、ファンのこだわりとプロの技が融合したのです。

プロだけでアイドルアニメを作れば、『Wake Up, Girls!』になります。
しかし、『ラブライブ!』は女子校のJKというブランドがあって、男を排除しました。
学校ならではの人数と可愛い衣装で、性的なイメージをなくした、夢の空間……。

『ラブライブ!』で、μ’sはテレビアニメとは思えないライブを繰り返します。
お金を払ったミュージカルのように!
再現する声優ユニットのμ’sは、さぞや大変だったでしょう。

だが、「無茶を歌と踊りでまとめる!」をなくしたら、『ラブライブ!』と言えません。
スクフェスで制服女子がいても、「ソロでしっとりと歌う」「どこかで見たような会話」をするだけでは、「だから?」と冷めた気分になるだけ。

本来はμ’sで終わるべきだった

μ’sの声優の1人に、悪いうわさが出回って。
その火消しで、こんな展開になったのかもしれません。

ならば、『ラブライブ!』と『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル』を綺麗に終わらせるべきでした。
ドル箱だからと、Aqoursや派生のソシャゲを出さずに。

『ラブライブ!』は、昭和のアイドルそのもの。
男子と接点のない制服JKがいて、大勢によるダンスや歌で楽しませる。
違うのは、現実のライブでも、キャラになり切っていること。

μ’sが異常なまでに消された原因の1つであろうスキャンダルも、意味深。
本人そっくりにした女優にやらせて撮影することも、可能です。
ないことの証明は、悪魔の証明。
二次元のキャラがこれだけ人気になって、よっぽど気に食わない人がいたんでしょうね?

μ’sという1つの奇跡

『ラブライブ!』は、あの時代だからこその名作。
2024年にやろうとしても、きっと上手くいかないでしょう。

ファンのこだわりとプロの技術

エンターテインメントには、多くの人が関わっています。
10分の動画ですら、専用のソフトウェアによる編集や、テロップなどの挿入。

『ラブライブ!』は、オタク系の雑誌による募集で始まりました。
CDの売上が大きな意味を持っていた、2024年となっては過去の話。
けれど、大勢が集まるコンサート、あるいは、イベントの運営については、プロの力が必要です!

「ファンは、μ’sの一員」
その夢を見られたのは、興行とはいえ、多くの支えがあってこそ。
しかし、昭和と大きく違い、マスコミや芸能プロダクションが封殺できる時代にあらず。
プロがファンの奴隷になるような構図へ……。

一部のファンが暴走し始めたうえ、前述したスキャンダル。
テレビ局や出版社にお金を払い、根回しをするだけでは足らず、大勢を楽しませてきた舞台は最悪の形で終わりました。

プロに徹したことで良さが消えた

目指したかったことは、おそらく、宝塚歌劇団です。
定期的にキャストが卒業しつつ、ドル箱としての『ラブライブ!』は健在のまま……。

ですが、結果はご覧の通り。
μ’sをソシャゲに閉じ込めて、新しい声優ユニットへ目を向けさせることは失敗!
今では、個人で顔出しのユーチューバーに、永遠に美しいままのアバターによるVtuberまで。

「自分が育てた!」「良さを見出した!」と言えたはずのμ’s。
それは、『小説家になろう』のWEB小説を現実にしたような感覚でした。
一番大事なパートを消したのは他ならぬプロで、それに愛想をつかしたのがファン。

歌が上手い。
踊りが上手い。
アニメ、ソシャゲ、舞台で見られる……。

μ’sが社会現象になったのは、制服や舞台衣装を着たJKがいたからではなく。
ファンが一緒に歩んでこれたから。
それに対して、プロは売上を見ますので、永遠に話が噛み合いません。

エンドユーザーに決定権がある時代

一言でいえば、キャラコンテンツであることを忘れていた。
だから、過去の成功体験のように「別のアイドルを出せば」とやったら、大爆発!

「エンドユーザーは、与えられたものを黙って楽しめばいい」
その常識は、高速ネットに繋がったスマホとSNS、現代の黒船であるYouTubeによって破壊されました。

レンタルショップに立ち寄り、ヒットチャートのCDや人気アニメの円盤を借りたのは過去。
もう、過去の話です……。

今や大企業ですら、「何が売れるのか?」を読み切れずに右往左往。
その一方で、個人のユーチューバー、Vtuberが億を稼ぎ、豪邸に住みながら、大きな金額を動かしているのです。
μ’sは1つの時代の移り変わりを象徴しつつも、それぞれの未来を目指したのでしょう。