あずさはスライム倒して300年!なろうはテンプレこすって20年!?

『小説家になろう』は、20周年をむかえました。
それは福音ではなく、滅びのラッパ?
『スライム倒して300年』のように、後発のラノベにとっては踏み台!

可愛いキャラだけで理不尽がない物語

『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました』
一見すると、なろうテンプレの量産品ですが……。

本当のスローライフがここにある!

OLの相沢梓は、あえなく過労死。
異世界転生によって、アズサ・アイザワという魔女へ!
フラタ村から離れた高原で暮らし、300年ほどスライムを倒したら、レベルMAX!

なろうテンプレで有名な、スローライフ!
しかし、本当にゆったり暮らしているのは、アズサぐらい……。

対等な男キャラはなく、美少女が増えるだけ。
異世界ファンタジーの『まんがタイムきらら』枠と、言えます。

バトルはあっても、ギャグシーンのように圧倒するだけ。
痛そうな描写はなく、良い意味でプロレス。

罪と罰が釣り合っている世界

過剰なまでの暴力はない。
アズサは最強で、噂を聞きつけたドラゴンも一蹴しますが、それだけ。
正々堂々のバトルが終われば、すぐに仲良し。

文芸作家ゆえ、「罪と罰」の描写もしっかり!
事前に警告したうえ、迷惑をかけたぐらいで半殺しにせず。
作中の視点でも、ちゃんと道理があります。

自宅を壊したら、それを謝り、被害者が納得するように賠償。
不法侵入についても、法律による、無理のない贖罪しょくざいへ。
キャラを崩壊させての破滅や、周りが主人公の太鼓持ちにならず。

1話が勝負となるため、WEBは過激になりがち。
しかし、『スライム倒して300年』は、異世界転生でチートはあれど、真のスローライフへ!

説得力のあるファンタジーだから安心

『スライム倒して300年』は、無理がない。
のんびりと暮らしているアズサに対し、周りが騒ぐ。
そして、罪と罰による清算!

冒険者ギルドで「レベル99」と判明するも、無双しません。
別荘で暮らしつつ、スライムを倒しただけ。
フラタ村と交流を持ってから100年以上、知っている人もおらず。

アズサが不老不死で、人間とは分かり合えず。
必然的に、同じぐらいの寿命があるドラゴンなど、人外による美少女動物園。
ストレスフリーで、親しくなった人との死別もなく。

避暑地のような別荘で、周りには自然とスライムだけ。
そこに美少女がどんどん押しかけて、賑やかで楽しい時間♪

ただの息抜きが長期的なIPへ

「息抜きで書きました」
そのコメントは、他のなろう作家にとって、格が違うの一言。

シリーズ累計300万部になった理由

『スライム倒して300年』は、長期的なIP(知的財産)です。
漫画、アニメに留まらず、キャラグッズ、ソシャゲと、幅広く展開。

シリーズ累計300万部は、美少女たちのスローライフゆえ!

『小説家になろう』は、作家になりたい人が集まる場。
けれど、「ランキング上位=レーベルに声をかけられての書籍化」で多様性を失った。
選挙活動と同じ、ライバルを蹴落としての書籍化へ。

ランキング上位は書籍化だが、売れる保証はない。
漫画もそうですが、一番儲かるのはグッズ、コラボ。
二次元のアイドルにするわけで、その意味で『スライム倒して300年』は理想的♪

学歴と豊富な知識をひけらかさない

『なろう』でよく見かけるのが、オーバーな知識。
アマチュアは思いつくままに執筆するため、ありがち。

『スライム倒して300年』の作者は、京都大学の文学部を卒業して、修士課程の中退。
「文芸作家の学歴として最高峰」と言えます。
嫌みがなく、適度にリアル。
たとえば、畑は土を入れ替え、正しい手順ではあるが、魔法などで時短!

「作家の願望を表している」と言うなら、この人はスローライフをやりたい。
『なろう』は、ルサンチマンばかり。
テンプレを守りつつ、ヘイト役がいない美少女動物園は、とても貴重。

難しいことをコピペするのではなく、その世界観に合わせての描写。
まさに、地頭がいい!

プロの文芸作家がラノベに合わせた

文芸の専門教育を受けて、本人も作家。
それだけに、中高生も投稿している『なろう』で、目立ちました。

プロの文芸作家が、なろう構文。
2015年はWEB黄金期であり、『無職転生』や『転生したらスライムだった件』が席巻!
ゆるく描かれた『スライム倒して300年』も、独自のポジションへ。

『薬屋のひとりごと』は、書籍化した文芸をラノベに移しただけ。
文芸作家が、推理モノとして執筆。

2025年は、短いラノベが好まれています。
TikTokの1分小説、あるいは短編のように、その場で完結することが必要!
『スライム倒して300年』をテンプレでこすっても、意味なし。
当時の熱量と社会情勢があってこそ、初めて意味をなす。

コピーを続ければ劣化して当然!

コピーは、どんどん劣化していく。
自由に見えるWEB小説も、その運命に逆らえません。

なろうのテンプレは劣化するだけ

なろうのテンプレは、2013年の『転スラ』から。
『オーバーロード』や『幼女戦記』を「自分でも書ける!」と思う人はいないが、これは別。
最強チートを引っ提げて、様々なキャラが異世界転移、転生へ。

『魔法科高校の劣等生』は、最強チートの原点にして、至高!
おまけに、「最強だが最弱」という制限つきで、「妹の深雪だけ」という誠実さ。

名作を見て佳作かさく、時代の潮流ちょうりゅうに乗った作品を書けても、テンプレでは無理!

『片田舎のおっさん、剣聖になる』をこすったラノベは、中年男の美少女ハーレム。
ヒロインが、卑屈な男をただ持ち上げる。
表面だけを真似したら、おぞましいナニカに……。

書籍化を目指してのランキング競争

『転スラ』を真似して、異世界転生ブーム。
『この素晴らしい世界に祝福を!』が大成功したら、ゲーム世界。
『シャングリラ・フロンティア』がヒットするや否や、フルダイブのVRで無双。
『薬屋のひとりごと』にあやかって、中華風の後宮モノ。

どれも、書籍化をするためのランキング競争!

小説投稿サイトの流行を外すと、PV(ページビュー)を得られない。
なりふり構わずにびて、合わせることが必須!

ランキングから書籍化されても、1巻切り、良くて3巻。
2015年ぐらいに連載された名作だけ、今でも読まれて、お金を払う客がいる。
それが、残酷な現実!

テンプレだけを評価する場

全ては、なろうがテンプレを重視するから。
『スライム倒して300年』も、お約束を守っています。

テンプレが悪とは言いませんが、現状でフリー素材。
成功した作品を真似し続けて、二匹目のドジョウを狙うだけ……。

世間で売れるラノベと投稿サイトの人気が、ズレているのです。

テンプレは、スマホの流し読みに向いていて、どこから読んでもいい。
いつエタっても不思議はなく、タイトル回収は10話以内。
『片田舎のおっさん、剣聖になる』も、剣聖と呼ばれているから、後日談です。

作家として成功する方法3つ

プロの作家になりたければ、下記のルートが有効。
投稿サイトだけでは通用しないことを、覚えておきましょう。

難関大学に合格する

『スライム倒して300年』の作家は、京都大学の修士課程を中退。
『ストライク・ザ・ブラッド』の作家は、上智大学を卒業。
一番手っ取り早い方法は、難関大学への合格!

ポイントは、都心部にキャンパスがあること。
自由に使える時間で、作家としての準備や応募。
OB・OGの訪問やインターンを兼ねて、出版社に行く方法も。

良い作家になるためには、幅広い知識と、様々な人と出会うべき。
その意味で、都心にある難関大学がオススメ!

大学受験は大変で、お金もかかります。
しかし、「作家になりたければ東京へ出ろ!」は、昔から言われている話。
大手の出版社に行かなければ、何も始まりません。

同人から文芸作家としてデビュー

日本のサブカルは、プロとアマの境界線がない。
同人から商業デビュー、その逆もよく見られます。

『フルメタル・パニック!』で一世を風靡ふうびした作家も、中央大学へ。
ゲーム会社のライターとなり、その道をひた走る。
2025年では、数々のアニメ脚本を手掛けつつ、カクヨムネクストにも連載。

そもそも、長文のエロゲーをこなすことが、ラノベ作家の登竜門。
『ひぐらしのなく頃に』と『Fate/stay night』も、同人サークルから始まった。
ラノベが低迷したことで、そういったゲームへの回帰……。

ゲーム制作は、チームで行います。
同人であろうと、様々な制約がある執筆ですが、実績を作れれば強い!
現に、ラノベ作家の多くが、ソシャゲなどで関わっています。

作家のコミュニティに入る

『このすば』、『Re:ゼロから始める異世界生活』、『オーバーロード』の3人。
同じWEB出身とあって、彼らはプライベートでも交流があるそうで。
なろう系の大手作家サークル、と言えます。

文芸作家の集まりは、以下の3つが有名。

  1. 日本SF作家クラブ
  2. 日本文藝家ぶんげいか協会
  3. 日本ペンクラブ

この他にも、それぞれの賞の主催団体や審査委員会。
審査委員を務めている作家は、文芸的な評価として最高峰!

2025年では、WEB出身の作家だらけ。
レーベルの作家交流会、もしくは、合同イベントで話すか。
SNS、作家フォーラムで、交流する。

お金を出してくれる大半は外にいる

書籍にお金を払う人は、投稿サイトにいない。
『なろう』のテンプレを知らないまま、一般社会にいる!

投稿サイトと作家の利害は一致せず

小説投稿サイトは、広告の表示か、クリックされての広告料で儲ける。
となれば、作家の都合はどうでもよく、PVを増やすだけ。

読み終わりに関連するラノベを並べて、離脱させない。
作家を見ることなく、どんどん回遊。
ペンネームで小説を見てくれるユーザーが、どれだけいると思います?

ラノベは、作品とキャラが愛される。
『魔法科高校の劣等生』の司波達也、司波深雪を知っていても、その作家は?
即答できるのは、シリーズを揃えた人ぐらい。

ランキング上位になれば、投稿サイトのPVを集められます。
だけど、それはいつまで?
毎日更新、評価してくれるユーザーにびても、外にいる人には通じず。
投稿サイトと作家の利害は、一致しません。

無料が当然になった世界は終わり

YouTubeは、動画の投稿者、配信者に利益をもたらすことで、急成長。
原点であるニコニコ動画は、「儲けるのはダサい!」という風潮で、あっという間にコンテンツを提供する層を失いました。

小説投稿サイトも、集めたユーザーに活動させて、ユーザーから儲ける!
しかし、無料で読めることが当然で、呆れた作家がどんどん離脱。
残ったのは、国とキャラだけを変えただけの、テンプレ二次創作の山。

無料で楽しめるのは、それに見合ったものだけ。
凝った世界観、感動できるストーリーを求めるなら、お金を払ってください。
当たり前のことです。

『小説家になろう』を始めとするサイトが悪いとは、言いません。
作家に還元しなければ、結果を出したか、優秀な人から逃げ出すだけ。
『クトゥルフ神話TRPG』ですら、今はシナリオを同人販売!

なろう出身が代表作を言わない現実

『小説家になろう』で書籍化した作家は、どんどん逃げています。
ラノベ出身ですが、『俺がお嬢様学校に「庶民サンプル」として拉致られた件』の作家は文芸へ移り、代表作にそのタイトルを出していません。

ペンネームを変えての、再デビュー。
それが横行する程度には、『なろう』の評判が悪い。
目を背けても、ランキング上位で書籍化、コミカライズした作品が、すぐに打ち切り。

2025年には、『Re:ゼロから始める異世界生活』の作家がゲーム業界で活動。
他の有望な作家も、ラノベから離れた。
1巻打ち切りか、編集部にキープされて、3巻まで出版枠を埋めるための消費ゆえ。

今は、スマホで10分動画を見るぐらいで、後はゲーム。
マルチメディア展開でヒットする作品もありますが、大好きな作品の作家だからと、次のシリーズを無条件に買わない。

ここで、質問です。
あなたは、『スライム倒して300年』の作家をすぐに言えますか?
まあ、そういうこと!