冒険の代名詞、『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』。
同時接続で楽しむオンラインゲームの記念碑は、なぜ売れた?
強敵へ立ち向かい、周りに認められつつ、ヒロインと親しくなる王道だから!
男女ともに応援したくなる主人公
ベル・クラネルは、とにかく頑張る。
駆け出しから、迷宮都市オラリオを左右するほどに!?
最弱から始まる英雄譚
英雄になるため、オラリオへ!
高い壁にぐるりと囲われた城塞都市で、ワクワクする。
意味深な演出を交えつつ、神を頂点とするファミリアへ入るための売り込み。
けれど、ベルが見るからに弱そうで紹介もないため、門前払い。
異世界だが、就職活動そのもの。
MMO(多人数の同時参加型オンラインゲーム)におけるクラン探し、『モンスターハンター』のサークルと同じ構図。
ダンまちの素晴らしい点は、緻密に作られたキャラと、裏設定。
作者の都合で動かさず、どれだけ話が進んでも、緊張感や驚きが尽きない。
惚れたヒロインに一途だから安心
ひょんなことから一目惚れした、ベル。
それは、神の恩恵によるスキルとしても発現する……。
長期シリーズになった理由は、アイズ・ヴァレンシュタインとの関係。
「憧れ」と定義したから、ラブコメでなくても話が進むうえ、常にバトルへ!
強くなっていく主人公は、ハーレム展開になりがち。
けれど、ベルは「アイズさんに認められたい!」という想いに、「自分が所属したファミリアで生活するため」という動機で、見事に解決した。
ベル・クラネルがヒロインを増やすだけであれば、これほどの人気にならず。
ヘスティアという絶対的な存在
印象深い女神ヘスティアは、神々が集まったオラリオの癒し。
ギリシア神話でも、ゼウスの姉というだけで、何もせず。
オリンポス十二神の座を譲るなど、優しい性格。
ポセイドンとアポロンから同時に求婚されて、「永遠の純潔」を誓い、やり過ごしたことも。
のんびりしていて、優しい。
ベルが頑張る理由の1つで、強くなるためでも……。
ヘスティアは、何があろうとも、ベルを肯定します。
闇を抱えるオラリオを照らす、平和の象徴!
アイズが憧れであるのに対して、彼女は日常的な動機づけ。
役割分担をしたおかげで、メリハリのある展開。
「ヘスティアは常に安心できるヒロイン」と分かった読者も、ストレスがない。
困難を乗り越えての成長が分かりやすい
神々が集まったオラリオで、同じキャラとの絡み。
けれど、ゲームの設定をうまく取り入れていて、先が気になる!
所属ファミリアとレベルで一目瞭然
ダンまちは、神をトップとするファミリアによる支配。
主従関係だから、所属したら眷属へ。
神は人間ではないため、「嫌なら、そもそも入るな!」という話。
アニメでは分かりにくいが、オラリオにいる冒険者の大半がレベル1。
いわゆる、低級です。
小規模ファミリアの団長はレベル3が珍しくなく、強さの基準が明確……。
神々は、物語に関わってくる。
絶対的な存在に逆らうことは許されず、主人公のベルですら、それを破れない。
どこまで強くなっても、人の身。
ファミリアに入って神の恩恵を受ければ、ブーストされて、それ以外に圧勝。
しかし、上のレベルにはかなわず、そちらの序列に組み込まれるだけ。
バランスが取れていて、常に緊張感がある。
個人の思いと経験によって発現するスキル
神の恩恵は、レベルだけではなく、スキルとしても反映!
力などを示す基本アビリティ、より専門的な発展アビリティとは別に、本人の思いや資質、願いが反映される。
ファミリアに所属している冒険者は、レベルに応じた強さの他に、オリジナルのスキルを有している可能性が高い。
ベル・クラネルは、アイズ・ヴァレンシュタインに助けられて、レアスキルを発現。
祝福を刻んだステイタスがある背中を見られないことも、重要に……。
魔法はスキルとは異なるが、正しく詠唱しなければ、発動しない。
むろん、高度な魔法であるほど長く、護衛が必要不可欠。
MMOのクランとパーティの必要性を、システムで再現しました。
主人公らしいスキルはあくまで補助
ダンまちの世界では、パワーレベリングが不可能。
なぜなら、困難に立ち向かい、それを乗り越えるという偉業(エクセリア)が必要だから!
スライム倒して300年だろうが、ここでは何も成長せず。
ダンジョンに潜る場合、高レベルが支援することで安全に。
しかし、自分で勇気を奮い起こし、殺されるかもしれない敵と戦うだけ!
下級のレベル1が大半を占めているのも、納得できる。
主人公のベルに発言したレアスキルは、あくまで補助。
強敵に立ち向かえば、命を落とすか、欠損する危険がつきまとう。
けれど、彼は立ち向かい、負けても諦めない。
他のネームドキャラは、だいたい悲惨。
いつも金欠、ダンジョンで手足を失った、他のファミリアの下請け、半グレみたいなファミリアで奴隷扱いと、現代の闇をそのまま異世界ファンタジーに映した感じ。
だからこそ、ひたすらに突き進むベル・クラネルが眩しい……。
ソシャゲとの連動でファンを増やした
圧倒的な人気としては、ソシャゲも大きな要因。
課金制のゲームで資金力があったからこそ、次元の違うアニメ制作と宣伝に!
原作者の書き下ろしで物語を補填
ソシャゲの『ダンまち~メモリア・フレーゼ~』は、大森藤ノ先生の完全監修。
数千年前を舞台にした「偉大冒険譚 アルゴノゥト」のように、書き下ろしも多数!
ガチャに頼らない魅力で、あふれていた。
ダンメモが始まった2017年は、ソシャゲの全盛期でした。
パチスロ、キャラグッズよりも効率が良く、ここだけの物語を提供。
新規からファンまでお金を出したうえ、世界観の広がりへ……。
好評だったものの、2024年6月にサービス終了!
漫画アプリが人気ソシャゲを上回っていて、お金を出す人が少ない。
後継の『ダンまち バトル・クロニクル』が2023~2025年で終了したことが、全てを物語る。
マルチメディア展開をするラノベ業界で、大きく変化した10年。
ダンまちの裏側を見れば、「売れる作品」の定義が変わっていく様子に驚きます。
どんな端役のキャラにもファンがいる群像劇
ソシャゲは、どんどんキャラを出す。
ダンまちに登場するネームドは、ファミリアに所属している冒険者が多い。
原作ファンでも驚くほど、マイナーなキャラも……。
興味深いのが、どれだけ端役のキャラにも、ファンがついたこと!
テンプレではなく、キャラありきの群像劇。
神の恩恵があるから、頑張ってのワンチャンも!
何かのキッカケで知り、応援する人が増えていったのは、当然。
敵対したファミリアにも、一方的に叩き潰して破滅させることは少ない。
話し合える場合は交渉するし、トップ同士は神会(デナトゥス)で顔見知り。
殺伐とした世界観でも、眷属を率いる神様はマイペース♪
ブームに乗れたことで人気IPへ
2010年代に発生した、「異世界転生・転移」のブーム。
それに乗っかった『ダンまち』は、先が気になる群像劇でオンリーワンへ!
これほど応援したくなる主人公は貴重で、世界観とキャラを練りこんだ成果。
無条件に肯定する女キャラは妹が定番だが、女神にしたことで、女性ファンも獲得。
人気IP(知的財産)になれば、アニメ制作、コラボ、イベントで、金が集まる。
どのキャラも、成長すれど主義主張がブレないから、安心できるコンテンツ。
神は絶対的で、地上にいる人々は従うだけ。
ベル・クラネルがどれだけ成長しても、その仕組みを崩せず、枠に収まっている。
しっかりしたキャラ設定がある
「ライブ感で動かしたら、設定が矛盾した」
ダンまちは、そんな事態とは無縁!
キャラは自分の生い立ちと事情で動く
ネームドキャラには、所属しているファミリアと事情。
集団による識別だから、たまに出てくるキャラでも混乱しにくい。
たとえば、聖女。
なろう系では主人公に惚れるチョロインだが、ダンまちは違う!
【戦場の聖女】という二つ名のアミッド・テアサナーレが好きな男は、別にいる。
異なるファミリア同士の恋愛はご法度で、悲恋。
活躍しているのは、ベル・クラネルが脇役となる外伝。
神々に人のような善悪はなく、たわむれで破滅させることも……。
英雄になりたい、種族の希望になりたいと、キャラの数だけ正義がある!
どのようなスキルを発現したのかも、よそ者には不明。
自分のファミリアの主神をやられたら、恩恵を失い、無力になる。
油断ならない世界で、ベルは傷ついても倒れても突き進む。
オラリオで同時進行しているエピソードが多い
ベルの想い人がいるのは、オラリオの最大手であるロキ・ファミリア。
この時点で、会うことも難しい。
けれど、最大の壁はレベル差!
ダンまちの世界は、レベルによるランク制。
『ドラゴンクエスト』とは異なり、レベル1つが戦艦とフリゲート艦ぐらいの戦力差。
生身での耐久、攻撃力もアップするため、武具がない相手に完封される。
ロキ・ファミリアも独自に動いていて、外伝『ソード・オラトリア』で描かれる。
そちらの主人公は、アイズ・ヴァレンシュタイン。
つまり、ベルの視界の外で、もう1つのストーリーが同時進行……。
作者の都合ではなくキャラが動いた結果
世界観をしっかり作り込んだら、キャラが動き出す。
主人公にチートはあっても、努力と挑戦に基づくため、しばらく弱い。
なろうの異世界ファンタジーは、作者が楽をするためのテンプレに基づく。
けれど、ダンまちに甘えはなく、どのキャラも不自然な言動をしない。
ファミリアの主神に仕えているため、分かりやすい群像劇。
神話に登場する神々を大量にぶち込んで、一級のエンタメに仕上げた力量は、すごい!
終盤に至っても、作者の都合ではなく、世界観というシステムで進む。
ベル・クラネルは読者が混乱しないための指標で、オラリオにいる全員が主役。
ダンジョンを舞台装置としたメリハリ
常人では移動すら困難な、ダンジョン。
しかし、命懸けで戦うための舞台装置に過ぎない。
チーム制の異世界デスゲーム
入れてもらったファミリアで、主神と幹部の言いなり。
危険なダンジョンに潜ってモンスターを倒し、魔石や素材を集める。
もしくは、アイテムの作成、販売などの活動で貢献。
「ダンジョンは、何があっても自己責任」
この不文律によって、同じファミリアで固まる。
違う冒険者に襲われないか、されても返り討ちにするため。
つまり、異世界ファンタジーで繰り広げられる、チーム制のデスゲーム。
主人公補正があるベル・クラネルは、危険なファミリアに入らず。
しかし、レベル1で搾取されている冒険者のエピソードも……。
ファミリア同士のパワーバランス、冒険者の履歴は、詳しく決める。
けれど、ダンジョンについては、巨大な迷宮というだけ。
そのおかげで、キルゾーンや新たな問題の発生として、大活躍。
2020年からのダンジョン配信のブームに引っ掛かり、10年を超えるシリーズへ!
ベルですら死は身近にあるという緊張感
主人公のベルも、新人からスタート!
偉業を成し遂げることが必要不可欠で、自分の壁を破らないと、ポンコツのまま。
ファミリアに貢献しなければ、主神や幹部に見限られての追放、あるいは、ダンジョンでの置き去りや始末も!?
ヘスティアに見守られているベルは安全と思いきや、弱小ファミリアとして、狙われる。
闇討ちで潰されるか、オラリオに手を回しての経済的なプレッシャーも。
序盤はロキ・ファミリアとの因縁で進むが、ベルが強くならなければ、周りに潰されるか、搾取されるポジションになるだけ。
治安維持をしているファミリアも、その主神が趣味でやっているだけ。
いったん神の恩恵を受ければ、どこまでも自己責任!?
同じ町を拠点とするMMOの集大成
ダンまちは、『ソードアート・オンライン』とは違う切り口で、MMOを再現した。
同じ町を拠点にして、素材や経験値を得られるダンジョンへ行く。
そのために、プレイヤー同士で集まったクランができる。
『らき☆すた』でも登場したMMOは、ソシャゲへ移った。
2026年になれば、それも斜陽に……。
『ラグナロクオンライン』の「就職は決まってないけど、働く喜びが分かった」というキャッチフレーズの切れ味は、鋭くなるばかり。
ファミリアというクランで、そのトップは誰もが知っている神々。
そこまでは平凡だが、応援したくなるベルの頑張りと周りの生々しさの対比で、差がつく!
リアルなら、新人狙いの餌食か、クランで良いように使われるだけ。
それを最弱からの英雄譚としたことで、大きなカタルシスに。
純粋なハイファンタジーで同じ街の群像劇にしたダンまちは、一気に跳ねて、ドル箱へ!
長い物語ですが、追って後悔しないことだけは、確か。
