日本のアニメは、聖地巡礼という概念がある。
舞台になった実在の地名、モデルを現地へ見に行き、原作を追体験♪
その経済効果は地元を救うほどで、誰もが求めて止まない。
自治体にとっての希望
地産地消では、たかが知れている。
それゆえ、国内外からアニメファンを呼び込むケースが増えた。
観光客による収入増加
地方税で予算を組む自治体は、観光にも力を入れている。
なぜなら、観光客は地元のリソースとは別で、上手く誘致すれば青天井だから……。
理屈としては、かけた予算をペイできるだけの収入があればいい!
その仕組みで稼ぎ続ければ、手つかずの修繕や建設、住民への還元も行える。
アニメファンは、気に入った作品にお金を惜しまず。
ゆえに、大ヒットした作品の聖地巡礼となれば、放っておいても観光客が訪れる。
聖地巡礼による経済効果は、数字で見分けにくい。
既存の観光収入に混ざってしまい、わざわざアニメで切り分けるのもナンセンス。
ともあれ、行き詰った地方の一発逆転であることには違いない。
ファンが自主的に宣伝する
ネットで、アニメファンが宣伝してくれる。
大勢が発信すれば、その分だけ注目されやすい。
2026年はオープンAIに推薦してもらえるかどうかが問われていて、そちらでも有利!
本来は宣伝広告費を払い、それでも来てくれるとは限らず。
けれど、好感度が高いファンの記事、レビューは、刺さりやすい。
元々のファンであった層が見込み客になるだけでも、魅力的だ。
人気作のアニメは、世界的にファンがいる。
海外から来日してまでの聖地巡礼、つまりインバウンドも期待できる♪
高速鉄道などの交通、現地での宿泊、飲食店の利用で、大いに潤う。
国内でも注目されることが少ない地方へ、円安でお得感がある外国人を招く。
その手段は、他にあまりない。
10年単位の経済効果
今のIPコンテンツは、10年単位。
いったん仕組みを整えれば、テレビアニメ、劇場版、ゲームなどのコラボで続く。
それは、聖地巡礼の対象になった自治体の繁栄も意味する!
多くの成功事例が出ていて、動員数や売上データを参照した政治家は目の色を変える。
どうせやるなら、地元が栄えたほうがいい。
市長のように地元密着の政治であれば、その実績で次の選挙も楽になる。
いったん流れができれば、あとは維持するだけ。
新しいイベント、グッズを用意しつつ、古くなった機材を入れ替え、問題点を潰す。
まさに、打ち出の小槌♪
アニメの聖地巡礼に失敗する理由3つ
成功すれば、長く儲けられる。
しかし、多くの自治体がアニメで盛り上げようとして、話題にならず……。
行政主導で進めている
最大の理由は、行政主導で作ってしまうこと!
「お役所」という表現は、蔑称にもなる。
その理由は、良くも悪くも前例主義でエンターテインメントの真逆にいるから。
自治体が税金と交付金から予算を出して、アニメを制作。
有名なコンテストで受賞したラノベを原作にしたから、間違いない。
経済効果を狙って、観光シーズンの直前に放送する。
この時期までに、よろしくね?
なるほど、完璧な理論だ!
最初から最後まで、エンドユーザーを無視していることを除けば……。
「面白い、感動したから、そのモデルになった場所へ行きたい」
主人公やヒロインの気持ちを味わってみたいことが、聖地巡礼の原動力。
お金と時間を出すかどうかは、ユーザーの自由だ。
面倒な書類を決められた通りに申請して、必要な分を払う。
不備があれば、突き返される。
エンタメでその感覚を強要されても、「知るか!」と怒鳴るだけ。
地元が余所者やサブカル嫌い
「地元民がアニメを押し出すことや、オタクの趣味に媚を売ることが嫌」
このケースも多く、1つ目の行政主導と合わさるケースが目立つ。
アニメの聖地巡礼では、登場したキャラの書き割りパネルなどを主要駅に展示。
公共交通機関とも連携して、ラッピングバス、電車が走り回る。
拒絶反応を示す層が、大きな声を上げる。
けれど、それで萎縮したら、聖地巡礼に来たファンが満足できない。
何もないから悩んでいるのに、その現状を維持してどうする?
せっかく軌道に乗りかけても、地元民の対応が悪ければ、アウト!
貴重な金と時間を費やしているだけに、ネガティブな要素はすぐ発信されて拡散。
現代に、敗者復活はない。
スマホがあれば揺り籠から墓場まで困らず、他にいくらでも娯楽があるから……。
追体験としての満足度なし
行政と地元民が努力しても、「追体験の満足度」という壁にぶち当たる。
要するに、払う金と時間に見合った内容でなければ、期待した分だけ失望すると……。
聖地巡礼に選んだアニメの評価が関わってくるため、深刻な問題。
ライト勢から見てもつまらない駄作か、不愉快だったら、打つ手なし。
導線としての説明不足、イベント不足は、行政のミス。
アニメの聖地巡礼に詳しい会社に任せることで対策するが、ここにも落とし穴。
出版社が売りたいラノベを大々的にアピールしつつ、過去の成功事例で煙に巻く。
役所の観光課でそういった区別は難しいし、上司や先輩に口ごたえは論外。
その結果、サブカルに詳しい人が失笑するレベルの作品を担ぎ上げ、大きな花火を上げる。
1つ目の行政主導が失敗するのは、仲介する会社の提案に流されやすいことも影響。
アニメ化すればファンが聖地巡礼なんて、平成ですら通用しない。
聖地巡礼の成功例
有名になった成功例は、以下の4つ。
どれもオリジナリティがあって、キャラの魅力にあふれている♪
らき☆すた
2007年に京都アニメーションが制作した、日常系!
当時はそういった概念はなく、鷲宮神社に行くファンが増えたことで聖地巡礼へ。
「泉こなた」は、アニメ、ラノベが馬鹿にされる時代に教室で雑誌や単行本を読む。
でも、柊かがみ、柊つかさ、高良みゆきと、女友達が多い。
オンラインゲームの全盛期であり、担任の「黒井ななこ」とのチャットでの絡みも……。
書店でアニメ雑誌を買い、投稿したハガキが掲載された号を永久保存とする。
『涼宮ハルヒの憂鬱』と同じ、通話をしやすいガラケーの時代。
女子グループならではの、緩いノリ。
男子を登場させないことで恋愛を省き、共感しやすい日常を描いた。
ガールズ&パンツァー
2012年にアニメ放送した、聖地巡礼の代表!
フルCGで描かれた戦車による団体戦で、スポコンの王道が繰り広げられる。
ミニスカートの制服だが、パンチラなし。
水島監督のこだわりと女子高生が上手く嵌まって、前評判の低さから一気にランクアップ♪
茨城県大洗町では、毎年、あんこう祭り。
『ガールズ&パンツァー』のキャラが町に溶け込み、国内フェリーの発着場でもある。
入念なリサーチと地元の協力で、リアルに再現した町として描かれた。
第二次大戦までの戦車が動き回り、試合としての砲撃戦。
第1話の学園艦の引きは、それだけで世界観とスケールの大きさを伝えた。
現代を舞台にしながらファンタジー的な要素もあって、非常にバランスが良い。
ラブライブ!
2013年に放送されてから一世を風靡した、アイドルアニメ。
音ノ木坂学院に通う高坂穂乃果が、廃校を阻止するためにスクールアイドル!
初代のμ’sとそれ以降で、分けて語られることが多い。
世界観は同じだが新旧のキャラは共演せず、時期が異なるか、場所が違う。
聖地巡礼になっているが、狙いは全国ライブと、キャラグッズの販売。
徹底的に男を排除したアニメで、安心して楽しめる世界観だ。
部活動の王道といえる物語で、今見ても面白い。
ただし、次作の『ラブライブ!サンシャイン!!』では、不自然なまでにμ’sが消された。
ヤマノススメ
実際の登山を同人誌にまとめていたら、商業化!
その関係で、登山の入門編にも。
2013年、ショートアニメから長いブームに乗った……。
雪村あおいは、幼馴染の倉上ひなたに連れられ、登山にチャレンジ!
何が楽しくて何が辛いのかを語ってくれて、没入感が高い。
あおいの両親など、大人が子供を見守りつつ指導することも特徴的。
日本の近代登山は、明治初期から。
それまでは信仰の対象で、修験者などの修行の場。
高尾山などの実在する山に登るため、聖地巡礼としての追体験で満足♪
無理に30分枠とせず、無理のない5分枠から。
おかげで高品質のアニメに仕上がり、現在の人気につながった。
登山で死傷者が出ている事実にも言及していて、教育アニメに近い。
しかし、お風呂のシーンなども含まれ、万人受けする構成。
負けヒロインが多すぎる!
2024年に放送されたら、前評判を覆す人気へ!
よくあるラブコメと思いきや、闇が深いヒロインばかり。
今となっては、聖地巡礼で大きな富をもたらす。
ヒロインに囲まれ、1人ずつ向き合っては振る。
そういったハーレムは衰退したが、『アマガミ』のようなオムニバス型はまだ健在。
「マケイン」の愛称で親しまれ、その勢いは留まることを知らず。
舞台が豊橋市だから、自治体が受け入れた流れ。
名シーンになった場所を訪れて、「こんな気持ちだったのかな?」と考えてみる。
現地でラノベを読むか、アニメ視聴で振り返るのも、感慨深い。
成功する要因3つ
成功した聖地巡礼から、成功する要因が判明!
つまるところ、宝くじで一発逆転はない。
行きやすく帰りやすい立地
作品の魅力を別にすれば、都心から行きやすく、帰りやすいこと!
それも、日帰りで……。
一泊二日になれば、聖地巡礼を成功させる難易度は10倍以上に跳ね上がる。
貴重な連休を潰してまで行く価値があるのかと、吟味されるから。
普通に検索すればAIが答えてくれる時代に騙すようなアピールは、逆効果!
今は、どのユーザーも多くの情報を比較したうえで決められる。
「わずかな休日をどれだけ有意義に過ごせるか?」
少なくとも、自治体の都合を押し付けられたくはない。
そういうのは、納税と引っ越しの手続きで間に合っている。
元々、観光客が寄り付かない土地であれば、そこから思案する。
今は通販で買い物をするため、「特産品でコラボする」などの企画をしたほうがいい。
導線に加えて地元の魅力もある
行きやすいだけでは、利用者からの悪評で詰む。
現地へ行ったことでの楽しみ、特別感もなくては……。
観光客すら忌避するエリアは、そもそも聖地巡礼に向いていない。
人を集めれば、モラルが低い客による破壊や嫌がらせも。
そういった問題への対策や予防も、必要不可欠だ。
京都のような有名な観光地と比べても、行く価値があるのか?
どうせ遠い場所まで行き、現地で泊まるのだから、絶対に間違えたくない。
問われているのは、それ!
多くの選択肢がある中で行きたいのかに、答えを出さなければ……。
アニメに頼らずとも成り立つ
聖地巡礼の成功には、人気作に頼らずに成り立つことが必須!
それでこそ、アニメで注目された時にブースト。
「萌えたいんだろ? ほら、俺たちが考えてやったから」
そんな姿勢で、誰がお金と時間を払うのか?
だいたい、出版社、アニメ制作会社ですら、試行錯誤している時代に。
今は、スマホで期間限定の公式アニメが見放題♪
2026年のアニメ放送も多く、1クールで40本以上。
対する視聴者は、アニメ以外にも色々なことがあるわけで……。
アニメの聖地巡礼は、結果的!
現状を維持したままで面倒な人たちを説得せず、人とお金が舞い込むことはない。
10分動画の時代で生存戦略
「スマホに表示された情報で決め、10分動画ですら長い」
その時代で生き延びていくためには、外でも通用する視点が大事!
成功したアニメに頭を下げる
『負けヒロインが多すぎる!』は、アニメの大成功までは中堅どころ。
高クオリティで新規ファンを獲得しつつ、ラブコメの看板にのし上がった。
大成功してから提携すれば、それに見合った金額を払う。
でも、それが堅実だ。
大きな金額を払っても、それ以上に儲ければいい。
青田買いでアニメ化するのは、リスク大。
金を出せば、口も出す。
そして、堅苦しさを優先するスポンサーに忖度すれば、エンタメを辞めるだけ。
あるいは、本来なら見向きもされないラノベを売りつけられる。
成功する前に安く入手して、聖地巡礼を整えている間にアニメ放映で大儲け。
美味しいところを総取り♪
上手くいけば……。
地元の強みと弱みを客観的に分析
生まれ育った地元を愛することは、立派!
けれど、それは身内ネタに過ぎない。
無関係の人に押しつけても通じないうえ、その答えを聞くチャンスはない。
納得したファンは聖地巡礼を繰り返し、その良さを喧伝する。
逆に期待外れであれば、その感想をつぶやくか、嫌な思いをしたと連ねるだけ。
それを止めることは不可能。
何があって、何がないのか?
観光客が来ない場所に、そこを舞台にしたアニメを作らせても意味はない。
現実を見据えて、人が来ないか定着しない原因を改善していくのみ。
大変で地味だし、地元の顔役に逆恨みされるから、誰もやりたがらないけど……。
温故知新
郷土資料の見直しや、歴史的な寺社、自然という観光資源。
それらをどう活用して、人を呼び込むのか?
かつてのアニメは、現実逃避だった。
『宇宙船サジタリウス』のようなスペースオペラか、魔法がある異世界ファンタジー。
けれど、『ブギーポップは笑わない』から、現代の異能バトルへ移った。
スマホが手放せない現代では、気になったアニメをすぐ視聴!
平成の中盤までのオタクという概念は、完全に崩壊した。
それに伴い、もう1つの現実としてのリアリティが求められる。
『逃げ上手の若君』『ワールド イズ ダンシング』のような歴史物。
もしくは、恐竜のような超常的なモンスターによって逃げ惑う、パニックホラー。
そのエリアと関連性が深く、ここでしか体験できない必要がある。
チャンスを逃さないよう、地に足がついた振興。
売れる物はいずれ売れるし、駄作をゴリ押ししても売れない。
アニメによる聖地巡礼を振り返れば、当たり前の教訓……。


